CC_08 CloudCompareのTrace Polyline機能
2025.01.07
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Trace Polylineは任意の点を指定して断面ポリラインを作成できる機能です。斜め方向など軸に沿っていない形状、任意の多点間の形状を取得したい場合に有効です。
前回ご紹介したCrossSectionは、XYZ各軸に沿って点群を抜き出しての形状取得、ポリライン作成には便利ですが、作成したいポリラインが斜め方向など軸に沿っていない場合、任意の多点間の形状を取得したい場合はTrace Polyline機能が有効です。
前回までと作業が重複するので、Level機能で軸を揃え、凹凸を可視化した状態の路面データを用意しました(CC_001-leveled.ply)。このページ下部のリンクからダウンロードできます。CloudCompareを起動後、CC_001-leveled.ply を3Dビュー上にドラッグアンドドロップしてください。
■Trace Polylineの使い方
メインツールバーの「Trace a Polyline…」をクリック→Trace Polylineツールバーが3Dビューの右上隅に表示されます。使い方としては、3Dデータ上にクリックで線分を描画後、設定に従ってポリラインが作成されるという流れになります。
Trace polylineボタンとツールバー
Trace Polylineツールバーの左側は設定項目です。
Width:線分を指定する際の線の太さです(ここでは3を指定)。
Oversample(オーバーサンプル):点群データ内から自動的に線分上にある点を拾い集めてくれる機能です。オーバーサンプルを大きくすることで、少ないクリックでより詳細な形状を作成できます。ここでは最大値100を入れておきます。
Snap size:オーバーサンプル機能を使う際の点の探索半径を指定するもので、大きいほど点を拾いやすくなるものの精度は落ちてしまうので、ここでは1のままにしておきます。
青色のくぼんだ形状を横切るように線分を指定します。1点目をクリックすると、始点とマウスポインタを結ぶ線分がリアルタイムで描画されます。2点目をクリックすると線分が引かれます。右クリックで線分を確定後、Trace Polylineツールバーの右側のボタンが有効になります。
線分描画後、右クリックで確定
ポリラインの出力(Export Current Polyline)ボタンをクリックすると、DBツリーに新しいポリラインが追加されます。Trace polylineツールバーを閉じ、追加されたポリラインを選択すると、Propertiesに長さが表示されます。
DBツリーでポリラインを選択
■設定によるポリラインの違い
オーバーサンプル数の設定により、生成されるポリラインに差異が生じます。下記の例では、2度のクリック(始点と終点)で作成した同じ線分から、左側はオーバーサンプル数:30で、右側はオーバーサンプル数:100でポリラインを作成したものです。オーバーサンプル数の大きさがポリライン形状の精密さと比例していることがわかります。
オーバーサンプル数によるポリライン形状の差
■複数回の指定による精度変化
同じ線分を、2回のクリックで指定するよりも、複数回のクリックで指定することでポリラインをより形状に合わせることができます。ただ、Trace polyline機能はあくまで元の点群から点を収集するものであり、新しい点を補完はしないので、一定程度を過ぎると効果は見えなくなります。
下記の例は、AB間をむすぶ線分を、2回のクリックで指定、中央部を含む3回のクリックで指定、細かく10回のクリックで指定、さらに細かく15回のクリックで指定した場合のそれぞれのポリラインです。下段2つに大きな差は見えなくなっています。
データ上の2点(AB)
クリック回数別ポリライン
また、多点間を指定して線分を作成する場合、下記のような折れ線の形状でもポリラインが作成できます。
注)Trace Polyline機能は、3Dビュー上に表示されている点群、メッシュ等を対象にします。機能使用時は、対象にしたいデータのみを表示させるようにしてください。
■関連動画
CloudCompareのTrace Polyline機能
サンプルデータのダウンロード
・CC_001-leveled…Level機能で軸を揃え、凹凸を可視化した状態の路面データ(3Dデータ 拡張子 .ply )をzip形式で圧縮したもの ファイルサイズ約4.3MB