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CloudCompareを使用した3Dデータの解析・操作の方法、3Dスキャナの原理など3D技術に関連するトピックを掲載します。

CC_10 CloudCompareのMPlane機能(平面設定と距離計測)

2025.03.14

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MPlaneは、点群内に任意の平面を設定し、平面と全点間の距離を計測する機能です。任意の点を指定して、計測値リストを作成することもできます。

 

「CC_05 CloudCompareで凹凸形状を可視化」では、点群に対して推定平面を設定(Tool→Fit→Plane)し、平面と点群を選択して距離計測(ComputeDistance)を実行する方法をご紹介しました。今回のMPlaneは、任意の平面を設定してより簡易に平面-点間距離を計測できるので、床や壁、底板などの平面からの距離計測を行う際に便利です。リスト化した距離情報をCSVファイルとして出力することも可能です。

 

MPlaneテスト用のデータを用意しました(CC_010.ply)。このページ下部のリンクからダウンロードできます。CloudCompareを起動後、CC_010.ply を3Dビュー上にドラッグアンドドロップしてください。

 

■MPlaneの使い方

DBツリーでCC_010.ply データを選択し、メインツールバーの「MPlane」ボタン(メジャーと雲のアイコン)をクリック、またはメニューバーのPlugins→MPlaneをクリックします。(CloudCompareのバージョンによって、MPlane機能がPlugin項目内に存在しない場合があります。こちらの記事はCloudCompareバージョン2.12.4の機能についてご紹介しています。)

 

ツールバーまたはメニュー項目から選択

 

MPlane画面

 

3Dビューの左上に、2つのタブで構成されたMPlane画面が表示されます。

 Point Selection…平面設定用のタブ

 Measurement…計測用のタブ 平面設定完了後に有効になる

 

■平面の設定

サンプル3Dデータは、床に白い紙を敷いた上に、半球や箱、円筒などを置き、真上近くから撮影したものです。各アイテムの床からの高さを計測したいので、床を平面として指定します。データ内の白色部分を囲むようにクリックしていくと、クリックの都度「Point Selection」タブに指定した点の座標が追加されます。3点目の指定と同時に、自動的に平面設定と点群-平面の距離計算が行われます。そのまま4点目をクリックします。

 

Point Selectionで平面を指定(2点目まで)

 

4点指定完了後、確定平面からの距離に応じて点が色分けされた状態

 

■距離計測

MPlane画面をMeasurementタブに切り替えます。3Dデータ上で、距離を計測したい箇所をクリックすると、クリックした箇所のラベル番号(#0からの連番)と、平面からの距離(Distance)がリストとして追加されていきます。

 

Measurementで任意の点の距離情報取得

 

Measurementタブ内の設定

 Signed distance  …平面からの距離を±符号つきで表記

 Unsigned distance …平面からの距離を±符号なしで表記

 Show normal vector …チェックすると平面の法線ベクトルを図示

 Save …計測値リストを外部ファイルに出力

 Close …MPlane機能を終了

 

作成したリストは、SaveボタンからCSVファイル形式で外部出力が可能です。ラベル番号とXYZ座標、距離情報が出力されます。MPlane機能を終了するにはCloseボタンをクリックします。平面設定時の指定ポイントの情報、計測ポイントの情報はそれぞれ「Fitting-points」「Measurements」としてDBツリーに追加されています。(下図参照)

 

計測値リスト出力ファイルとDBツリー表示の例

 

■カラー情報の切り替え

点群の色情報をもとに計測箇所を選択したい場合はカラーをRGBに切り替えます。DBツリーで3Dデータを選択後、propertiesのColorsから「RGB」を選択してください(下図例)。

 

カラー情報の切り替えとPointPickingでの距離情報取得

 

距離情報は、「CC_03 CloudCompareのPointPicking機能」でご紹介したPointPickingで取得できます。ツールバーのPointPickingをクリック→3Dデータ上の任意の点をクリックします。平面からの距離情報は「MPlane Distance=」として、点情報の最上段に表示されています。(上図例)

 

■応用:スカラー値を使った抽出

平面からの距離情報はスカラー値として保持されています。スカラー値を使って、平面から一定以上の高さの点群のみ抜き出す方法をご紹介します。

DBツリーで3Dデータを選択後、propertiesのColorsから「Scalar field」を選択してください。抽出範囲の設定は、propertiesの最下段近辺にあるDisplay paramsで行います。現在の距離情報値が表示されたヒストグラム図の左右端にある半円を内側へスライドすることで、指定範囲以外をグレーアウトすることができます。今回、平面から30ミリ以上の高さの点群のみ抽出したいので、左端の半円を内側へスライドしていきます。スライドと同時に、平面からの距離を示した上部枠の数値がリアルタイムで変化します。30ミリ以上になるまで目測でスライド、またはこの枠内に直接数値30.0を入力+エンターします。

 

スカラー値で平面から3センチ以上のみ有効表示

 

メニューバー「Edit」→「Scalar field」→「Filter by Value」を選択します。「Filter by Value」の「Export」をクリックすると、平面から30ミリ以上にある点群のみが抽出されます。

 

「Filter by value」画面と抽出後の点群

 

関連動画

CloudCompareのMPlane機能

 

サンプルデータのダウンロード

CC_010…床に置いた半球、箱等の撮影データ(CC_010 .ply )をzip形式で圧縮したもの ファイルサイズ約1MB