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CloudCompareを使用した3Dデータの解析・操作の方法、3Dスキャナの原理など3D技術に関連するトピックを掲載します。

CC_13 CloudCompareのRasterize機能(ラスタライズその2-等高線作成)

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2025.11.18

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Rasterize(ラスタライズ)機能を使用して、等高線を作成する方法をご紹介します

 

 

前回はラスタライズ機能を使って、点の偏在を均し、点群やメッシュとして生成する方法をご紹介しました。今回は、ラスタライズしたデータを使って等高線作成を行います。

 

等高線作成をテストするためのサンプルデータを用意しました(CC_013.ply)。このページ下部のリンクからダウンロードできます。CloudCompareを起動後、CC_013.ply を3Dビュー上にドラッグアンドドロップしてください。

 

DBツリーでCC_013.ply データを選択し、メインツールバーの「ラスタライズ」ボタン(格子柄アイコン)をクリック、またはメニューバーのTools→Projection→Rasterizeをクリックします。3Dビュー上に、ラスタライズ設定画面が表示されます。

 

等高線を作成するにはまず、点群データをラスタライズする必要があります。Grid、Projection、Empty cells の各設定値を下記のとおり設定し、「Update Grid」をクリック⇒高さに応じて色付けされたラスタライズ画像が表示されます。(ラスタライズの手順や設定値の詳細は、前回「CC_12 CloudCompareのRasterize機能(ラスタライズその1-点の集約・補完)」をご参照ください。)

 

Rasterize設定画面(Update Gridクリック後)

 

元の点群データは中央部分に欠落がありましたが、欠落部分にも等高線をひきたいので、設定項目Empty cellsで点を補完(interpolate)しています。

 

■等高線の設定と作成

「Update Grid」ボタンの下方に、各種設定用のタブが並んでいます。「Contour plot」タブをクリック⇒等高線作成用の設定画面が表示されます。

 

Contour plotの設定

 

Contour plotの設定項目

 Start value …等高線を作成する高さの下限を指定

 step …等高線の間隔を指定

 Min.vertex count …等高線の最小頂点数を指定※

 Line width …等高線の太さを指定

 

※等高線の最小頂点数を指定することで、ノイズなどを等高線として拾わないようにできます。例えば、Lidarなどで広範囲を撮影したデータに対し、樹木や電柱など小さな凹凸は省いて高低の変化のみを可視化したい場合に、点数の少ない箇所=樹木等は等高線を作成しないよう調整できます。

上図の通り設定値を入力し、「Generate」ボタンをクリック⇒ライスタライズ画像上に等高線が表示されます。

 

ラスタライズ画像と等高線

 

上図左は表示時の画像、上図右はマウスホイール等で中央部分を拡大表示したものです。高さ情報に沿って等高線が作成されているのが見て取れます。

 

■等高線の出力

等高線データは、ポリラインデータとして簡単に出力できます。等高線作成時に使用した「Generate」ボタンの左隣の「Export」ボタンをクリックしてください。その後、ラスタライズ設定画面右下隅の「OK」ボタンをクリックして設定画面を閉じると、3Dビュー上には点群データと等高線データが重ね合わせで表示されています。

 

元データ+出力された等高線データ

 

DBツリーには、「Contour plot(元データ名)」という名称のフォルダに納められた状態で、等高線ポリラインデータが追加されています。元データのチェックマークを外し、等高線のみを表示した状態にしたのが下記です。

 

等高線データ・角度を変えて表示(真上・真横・斜め上)

 

上図中央、真横から見た状態にすると、等高線間隔(Step:3.0mm)がはっきりとわかります。StepやMin.vertex count等の設定値を変えると作成される等高線が変化しますので、いろいろとテストをしてみてください。

 

また、等高線データの1つを選択すると、properties画面に長さ情報などが表示されます(下図)。

 

ポリラインを選択時のプロパティの例

 

■Hillshade(陰影表示)

ラスタライズの機能のひとつ、太陽光で生じる陰影をシミュレーションする機能をご紹介します。DBツリーで点群データを選択し、再度ラスタライズ機能を選択してください。Grid等にはさきほどの設定値が残っていますので、そのまま「Update Grid」を実行します。

 

「Update Grid」ボタンの下方にあるタブから、「Hillshade」を選択、設定等は変えずにそのまま「Generate」ボタンをクリックしてください。

 

Hillshade適用後

 

Sun zenith, Sun azimuthは太陽の位置(高さ、方位)を角度で設定します。上図例では、高度45度、方位315度(北西)に太陽がある場合の陰影を計算して表示しています。

 

この状態でメッシュを出力することができます。「Hillshade」タブの2つ左にあるタブ「Export」をクリックし、「Mesh」ボタンをクリック⇒メッシュが出力されます。ラスタライズ設定画面右下隅の「OK」ボタンをクリックして設定画面を閉じると、3Dビュー上に陰影つきメッシュが表示されています。

 

「Export」タブの「Mesh」をクリック

 

「Hillshade」メッシュが追加された状態

 

角度を変えて表示(斜め上、真横)

 

陰影がついたことで、表面形状の起伏の様子がよりわかりやすくなっています。

 

下図はもともとの点群の色を使用したメッシュ、高さに応じて色付けしたメッシュ、Hillshadeで陰影づけしたメッシュを並べたものです。さまざまな方法で可視化することで、より多くの情報を得ることが可能です。

 

メッシュ3パターン(天然色、高さ基準色付け、陰影づけ)

 

 

関連動画

CloudCompareのRasterize機能その2

 

サンプルデータのダウンロード

CC_013…中央部分を切り出した路面データ(3Dデータ 拡張子 .ply )をzip形式で圧縮したもの ファイルサイズ約200kB